ゴッ!!
―魔力の流れ―
今度は上手くよける事が出来た。シェゾはバッと飛んできた方を振り向いた。
「…クスクスクス…今度はよけたんだね。凄いや。」
「てめぇ、まだ懲りてなかったのか!!」
魔法を飛ばしたのは紛れもなくさっきの少年だった。
「次こそは殺す。覚悟しろ!」
何にも無い空間から闇の剣を取り出し、剣先を少年の方へ向けた。
だが剣先を向けても少年は物怖じしない。それどころか余裕の表情でこう言った。
「そう言えばさっきの格好面白かったよ。本当お兄ちゃんバカだよね、
本当に本の通りにやり遂げてしまうんだもの。言い事するんだもの。
そんな事しなくても良かったのに…クスクスクス…」
その言葉がシェゾの理性を完全に吹き飛ばしたらしい。少年の方を見るなり闇の剣を振りかざした。
「闇の剣よ……切り裂け――――――!!!!!!!!」
周りに皆が居るにもかかわらずシェゾは自分の周り一帯を切り裂いた。
そこまでしないと気が済まない、いや本当はそれだけで収まる理由が無いのだが…
かなりの時間が立ってやっと我を取り戻したシェゾは疲労感に襲われた。
まぁ、辺り一帯を壊しているのだから当たり前と言ったらそうなのだが…
そう、シェゾの周りは沢山の土煙と瓦礫の山で覆い尽くされていた。アルル達はおろかあの少年もいない。
「やっと死んでくれたか。まぁ俺としてはさっさと死んでほしかったのだが…」
やっと安心した矢先にあの憎たらしい声が聞こえた。
「無駄だよ、そんな攻撃で僕を殺そうなんて。僕を倒すには……」
姿は見えないがやっぱり生きているのは確かだ。チッ、と舌打ちをして改めて周りを見渡した。
すると一番高くなっている瓦礫が動き出した。
バコッ!
「全く、いきなり何も無い所に向かって話し出したかと思えば次は周り構わず攻撃と来たもんだ。
シェゾ、本当にどうしたんだ?」
出てきたのはラグナスを筆頭としたメンバーだった。
「そうだよシェゾ。耳だけかと思ったら次は目まで変態になったの?」
「ホントに全くで〜す。シェゾ、ユーはミーを殺す気ですかー?」
それぞれがそれぞれ文句を言っている。シェゾは手で耳を防ぎながら反論した。
「えーいうるさい!!俺は変態じゃねぇ!天才魔導師だ!て・ん・さ・い!!」
「じゃぁ、シェゾが天才なら他の人は大天才なんだね。」
「グヌヌ…」
アルルの言葉にシェゾが返す言葉も無くなった所にまた質問が投げかけられた。
――ラグナスからだ。
「さっき俺達が見えない方に何がいた(あった)んだ?俺達でいいから教えてくれ。」
「何故お前らには見えないんだ?大体インキュバス(本当は名前も呼びたくない)
お前も見えなかったのか?」
「オーゥ、それはいわゆる『愛の告白』ですか―?」
「やだ―シェゾってば筋金入りの変態だね。」
インキュが変なとらえ方(どう取ればそうなるのか不明)をしたのでアルルまで間に受けたらしい。
――しばしの間――
「じゃぁ、ミーの美貌を攻撃しそうになった者がいたんですかーそんなのミーは見ていませんでした―」
ボコボコになっているインキュが言った。どうやら本当に見ていないらしい。
シェゾが考え事をしているとアルルがシェゾに向かっていった。
「ねぇ、そう言えばルルーを探しているんじゃなかったの?」
「ハン!あんな脳みそ筋肉女!いない方がせいせいするぜ!」
秘宝の事はどうやら忘れてしまっているらしい。
それよりシェゾはあの少年を殺す(倒す)事がまず最優先らしい。
シェゾがルルーに対する文句のオンパレードを言っていると殺気が走った。
「何ですって!この変態魔導師!この私を侮辱する気?」
ドカーーーーーーーン!!!!!
「ぐはっ!?」
周りにいないからと油断していたらしい。シェゾはまともに一撃を受けてしまった。
「あ、ルルーだ。無事だったんだね。」
「当たり前でしょう?大ボケのあなたじゃあるまいし。この辺をうろうろしていたら
(迷っていたら)大きな地響きがするからこっちにやって来たらこのありさまよ!
全く特注のドレスがススだらけじゃない。どうしてくれるのよ!」
(いままでこの中を探検していたから汚れるのは当たり前じゃないか…)
しかし誰もこの言葉を言うものはいなかった。
「そう言えばさっき隠し小屋を見つけたのよ。中までは見ていないけど…」
ルルーが突如思い出したかのように言った。
「隠し小屋って…ルルー、どうやって見つけたの?」
「そんな事も分らないのかよアルル・ナジャ?」
シェゾがアルルをバカにしたような目で言った。
「ケッ、どうせ階段が見つからなくてその辺の壁奴当たり気味に殴ったんだろう?」
シェゾが言うとおりだった。だが、ルルーがそれを肯定するわけがない。すぐさま反論し始めた。
「何ですって?あなたみたいにTPOをわきまえない人じゃないわ。失礼にも程があるわ!!」
再びシェゾ対ルルーの対決が始まろうとしていた。それを三人は慌てて止めに入った。
「と、とにかくその小屋へ行って見ようぜ。なにかしらヒントがあるかもしれない。」
「そ、そうだよ、早くこんなところ脱出しようよ。」
「チッ、とにかく行き場がないから行くしかないのか。」
「…行き場をなくしてくれたのはあなたのせいでしょう?」
「んだとぉ?」
そう、さっきのシェゾの攻撃でここのフロアの大半が崩れてしまっていた。
せっかく止めた喧騒が再び坊発しそうだった。しかしそれが起こる事はなかった。
問題の小屋へ着いたのだ。そこには宝箱があった。幸いまだ誰も手をつけてはいないようだった。
誰かが真っ先に開けそうなのに、誰一人開け様とはしなかった。
今までの罠のせいで慎重になっていたのだ。このままでは埒があかないので
ここはラグナスが開ける事になった。(じゃんけんで)
「いいか、開けるぞ。」
『ごくっ。』
全員が頷き宝箱のふたを開けた……
つづく
あとがきもどき
初めまして妖霊星です。
今回小説を書くのも、こういうのに参加するのも始めてです。
書いていると結構楽しいですが自分で書いていて話しの先が気になります。
誰かこんなのの続きに書いてくれるのかと思うと嬉しいようで済みませんと言う気がします。
また機会があれば書きたいです。
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呪い(?)も解けて一安心…と思いきや、またの襲撃が。
だがしかし、シェゾ以外の者には見えないみたい…一体どうなってるんでしょう?
こんな時、ただヘンな人扱いするだけじゃなく、どうなってるのかを問いかけるラグナス
さすが勇者ですよねぇ…
さて、次回の走者は…現在のところ未定です。どなたか執筆していただけませんでしょうか?
もしよろしければ、メールか掲示板へ書き込んでいただければと思います。
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